2011年1月19日～23日に、イングランドで開催される「THE CHANCE」の最終セレクション。世界40カ国から難関をくぐり抜けた100名の選手が、1年間のイングランドでのサッカー留学をかけて競い合い、最終メンバーの8名が選ばれる。日本を代表してこのセレクションに挑む4名の選手は、今、何を思うのか。益子芳星高校3年の木下ロベルト選手の言葉に耳を傾けてみよう。

【最終セレクションに向けての意気込み】
「合格するためにイングランドに行くつもりなので、しっかり準備をして万全の状態で臨めれば受かる可能性はあると思います。プレーとしてはドリブルと、ドリブルからの展開を見てほしいですね。それが自分の武器だと思っていますし」

「最終セレクションには世界中からサッカーのうまい選手が集まると思います。でも、やれることをやって、自分のパフォーマンスを出せれば勝負はできると考えています。通用するかどうか、どんどんチャレンジしたいですし、楽しみです。こんなチャンスはめったにないですし、これからのサッカー人生を考えても貴重な経験になると思います。技術面でも精神面でも、ひとつ上のレベルに行けるんじゃないかと。良い経験をして先につなげたいですね」

【普段の練習で心掛けていること】
「普段の練習では視野を広く持つこと、周りを生かすことを意識しています。1年生の頃はゴールのことばかり考えてましたけど、MFとしてプレーすることが増えてからは周囲の生かし方が大切だと考えるようになりました。それと、練習のない日もボールには必ず触っています。自分の家の庭だったり、道路で壁当てをしたり、ボールに触れる時間が大事だと思いますし」

「イングランド行きが決まってからはフィジカルの練習にも力を入れています。フィジカルのメニューはきついですけど、プロになるという自分の目標のために自分が決めたことなので。それと、もともとスペイン語は話せるんですけど、イングランド行きが決まってからは、ピッチ上でのコミュニケーションのことも考えて、英会話の本を買って少しずつ英語の勉強をしています。まだ自信はないですけど(笑)。」

【将来の目標】
「将来の目標としては、まずはプロになりたい。観客を沸かせることのできるプレーヤーになりたいですね。もっともっと高いレベルで挑戦したいので、海外でプレーするのが最大の目標です」
「イングランドでのセレクションには、同世代の選手を代表する気持ちで臨みたいと思います。日本にひとつ良いニュースを持って帰りたいですね」

-益子芳星高校サッカー部の谷中監督からのメッセージ
「30年ぐらい子供たちを見てきましたが、ロベは南米スタイルの選手。なかなかいないタイプの選手ですね。ボールを持つ姿勢もいいし、サッカーに取り組む姿勢もいい。3年生なので、もうチームからは引退していますが、彼には自由にプレーさせていました。1年生の時は『ワンマンプレーが多いな』と思っていましたが、2年、3年になるにつれて考え方も大人になってきた。チームのことを考えるようになったと思います」

「日本のユースレベルは世界と比べても引けを取らないと聞きます。違うのはサッカーに対する姿勢だと。ロベはそういった強さもあるので、頑張ってもらいたい。心配なのは持久力ですが、校内のマラソン大会では3年生の中で1着でゴールしました。彼も目標があるので努力しているなと(笑)。あとはシュート力。この2つを延ばしていかないといけないですね。ただし、彼のサッカーに対する気持ちは生半可なものではないので、不安は感じていません」

「イングランドでは、自分の持っている力をしっかり発揮してきてもらいたい。彼は勝負強い男だと思う。そして、プロを目指してほしい。トリッキーなプレーが持ち味なので、志を高く持ってサッカーを続けてほしいなと」

【益子芳星高校サッカー部の塚田キャプテン(2年生)からのメッセージ】
「日本のセレクションに合格したと聞いて、自分のことのようにうれしかったです。一緒のチームでやってきて、『この人は絶対にプロになる』と思うくらいフィールドでは目立っていた人なので、イングランドに行っても頑張ってほしいです。絶対に受かると思います」

イングランドでの最終セレクションに向けて、フィジカルの強化メニューを取り入れたという木下選手。彼本人が「武器」と語るドリブルや、谷中監督が木下選手の持ち味に挙げたトリッキーなプレー以上に、「プロになるという自分の目標」に向けて厳しい練習にも進んで取り組む姿勢、そして、「もっともっと高いレベルで挑戦したい」という飽くなき向上心こそが木下選手を次の高みへと導くのではないだろうか。

「THE CHANCE」の最終セレクションまで残りは約2カ月。NIKEFOOTBALLでは、木下選手とともにイングランドに渡る平野伊吹選手、宮崎弘輝選手、熊田陽樹選手のインタビューに加え、最終セレクションまでの4選手の挑戦をリポートし続ける予定なので、欠かさずチェックしてほしい。