「THE CHANCE」最終セレクションの合格者ついに決定した。

世界40カ国から難関をくぐり抜けた精鋭100名のうち、イングランドにあるナイキアカデミーでの１年間にわたるサッカー留学の切符を手に入れることができるのは、わずか8名。

2日間のトライアルで100人から32人に絞り込まれ、最終日は残った32人がプロのスタジアムで試合を行い、"8枚のチケット"を争った。

32人発表の場では、スペシャルゲストとして元ポルトガル代表のルイス・フィーゴが登場。そして最終セレモニーでは元オランダ代表のジョバンニ・ファン・ブロンクホルストが来場し、ナイキアカデミーの門をくぐる選手を祝福した。

日本からチャレンジした高校生4名は、熊田陽樹選手と木下ロベルト選手が最終日の試合メンバー32名に残ったものの、残念ながら最終8名には選ばれず。熊田選手は最後の試合でも1ゴールを決め、チームの2－1での勝利に貢献してアピールしたが、それでも届かなかった。

厳しい選考を通過し、ナイキアカデミー入りのチャンスをつかんだ選手は以下の8名だ。

■ムスタファ・タリン（フランス／FW）
■トビー・アモケオド（イングランド／FW）
■ファビオ・トニーニ（ベルギー／左MF）
■ティティ・アッカム（イングランド／MF）
■ジョナサン・キング（南アフリカ／右サイドバック）
■ムン・ソンミン（韓国／MF）
■レヤード・ピータース（南アフリカ／GK）
■トマス・ロジック（オーストラリア／攻撃的MF）

最終選考を通過した8人にあって、日本人選手に足りなかったものは何だったのか。セレクションで若き精鋭たちの動きをつぶさにチェックしたナイキアカデミー・ディレクター、ヒュー・ジェニングスの言葉からヒントを探ってみよう。

「今日の試合は全体的に素晴らしかったと思います。落選した68人の選手は、落胆を乗り越え、素晴らしいサポートを見せてくれました。また、実際にプレーした32人の選手は質の高い試合を見せ、特にプレーのテンポ、個々人の資質、選手間のコミュニケーションは称賛に値します」

「日本人選手は総じて、良かったと思います。最終メンバーの8人には選ばれなかったものの、選ばれた選手たちに劣らず非常に高いレベルのプレーを見せてくれました。ほとんど差はないと言っていいでしょう」

「最後の試合に出場した2人については、まず（木下）ロベルトはいいプレーを見せました。ただ、終盤に失速したように試合を通じて自分の良さを引き出すことはできず、自分のサイドを支配できませんでした。ただ、安定感のある選手だとは思います」

「ヨウキ（熊田陽樹）は、得点を決めスピードを見せました。しかし、フィジカル的に疲れていたようですね。私は彼にポテンシャルを感じます。特に相手がボールをキープしていた時に、何をすべきかよく状況を理解していました」

「日本人の選手はハードワークができ、技術も高く、熱意もあります。ただ、時々試合状況への理解を欠くことがあるので、その面での改善が必要です」

「最終メンバーに選出された8人に求められる資質で重要なのは、プロ契約を勝ち取れそうかどうかです。彼らはその資質を最も備えていると考えられました。それぞれが際立ったクオリティを持っており、テクニック、フィジカル、判断力、スピードなどのポテンシャルを見せてくれました」

「日本の若い選手が成長するためには、もっと世界のサッカーを研究する必要性があります。欧州リーグなど、最先端のフットボールを勉強し、そして何より違う文化のフットボールにもっと触れることがとても重要です」

「この『THE CHANCE』は、とても素晴らしい機会です。世界各国から集まった多くの選手たちと競い合うという経験の中で、選ばれなかった選手も得るものがあったはずだったと思います。この経験は選手たちにとって何事にも代えがたいはずです」

世界トップレベルでの若手育成において豊富な経験を持つヒュー・ジェニングスが語ったとおり、日本の高校生プレーヤー4名は世界の舞台でレベルの高いパフォーマンスを示した。しかし、最終メンバーには手が届かなかったのも事実だ。

世界最先端のフットボールを勉強し、違う文化のフットボールにもっと触れること。試合状況への理解を改善すること。ジェニングスが残した"課題" は、最終セレクションに挑んだ4選手だけでなく、日本のすべての若きフットボールプレーヤーにとって、これからのチャンスをつかむための大きなヒントになるはずだ。